文字サイズを変更する
小
中
大
 

群馬県のニュース

《変革の息吹》「農業」×「IoT」 生育環境を数値化 

更新日時:2017年1月11日(水) AM 06:00
 全ての機械や物がインターネットでつながるIoTやAI(人工知能)、VR(仮想現実)、ドローン(小型無人機)―。新たな技術が今、さまざまな業界に広がり、産業や暮らしを変えようとしている。新技術を取り込み、「第4次産業革命」とも呼ばれる変化の波に挑む動きを探った。

◎省力でも質を維持
 13棟のビニールハウスの中で、赤く色づいたイチゴを4台のカメラが見守る。近くには気温と湿度、土壌の水分、日照量、二酸化炭素(CO2)濃度などを測定するセンサーが設置されている。スマートフォンなどの端末を使えば、カメラの画像や測定値がいつでもどこでも確認できる仕組みだ。

 群馬県内有数のイチゴ産地、藤岡市で石井設備サービス(高崎市)の石井洋志社長(38)は県産ブランド「やよいひめ」の生産に取り組んでいる。異業種の農業に参入したのは3年前。昨年、都内の会社が開発した農業用システムを導入した。

 「農家に生産のこつを聞いても皆、言うことが違う。長年の勘ではなく、誰でも同じように合格点を取れる育て方が知りたい」。IoT(モノのインターネット)技術で生育環境を把握できるシステムを取り入れた理由をこう説明する。

 昨季は機械の不具合で肥料濃度が異常に高まり、途中でイチゴが枯れるトラブルに見舞われた。土を全て入れ替え、心機一転で臨んだ今季は順調に収穫が始まり、ようやくスタートに立った。ハウス内の環境制御・管理や栽培時のデータを集め、効率的な栽培法を模索している。

 土壌の水分や肥料、CO2などの条件を変え、イチゴの出来栄えや収穫量を検証する実験も進める。IoTでデータを比較し、栽培ノウハウを蓄積、確立させるのが目標だ。「結果が明確になり、どう努力すれば良いかが分かれば意欲向上につながるはず」と話す。

 温度や湿度、CO2濃度などを管理し、収穫高向上につなげる取り組みは現在、注目を集めている。県農業技術センター(伊勢崎市)はハウス内のCO2濃度を高めて作物の光合成を促し、キュウリやイチゴの収量を増やす栽培法を研究。JA全農ぐんまも、前橋市内に新設した生産実証農場で、キュウリの収量増やナスの収穫期間延長を目指している。農家への普及が目的だ。

 農林水産省技術普及課は「農家が意欲を持ち、能力を発揮できる環境を整えるためには、省力化や高品質生産を可能にする新たな技術が必要」と説明する。IoTやロボットを活用した農業の実現を目指した省内研究会も2013年に立ち上げた。背景には、高齢化の課題に直面する農業を活性化し、担い手が魅力を感じる成長産業にしなければならないとの危機感がある。


   ◇  ◇  ◇   


 先端技術を取り入れ、業界の常識を変えようとする取り組みは農業だけではない。群馬県が誇る「ものづくり」の業界にもIoTを活用した変革が訪れている。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

タブレット端末を手にハウスを見回る石井洋志社長。頭上のカメラとセンサー(右)でイチゴと土壌の状態を把握できる