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ジュニア俳壇

選者・鈴木伸一
2017年9月7日付 上毛新聞掲載 
 文部科学省が提示した次期学習指導要領改定案では、小中学校の国語で「語彙(ごい)の指導の充実」が明記されました。これに関連して、たとえば学校で俳句づくりなどの創作活動に取り組んでいる場合、子どもたちの語彙が豊富であれば、それに伴って表現も豊かで深いものになることは確かです。ですから、その意味では指導要領の方向性に異を唱える理由は見当たりません。ただし、問題点として、それが学校においてどういう教え方になるかということはあります。ごく簡単に言ってしまえば、語彙の単なる詰め込み教育では効果は期待できないばかりか、場合によっては国語嫌いの子を増やしてしまうマイナス要因になることも考えられます。まして小学校の英語やICT活用教育など負担も増えるわけですから、そうした授業時間の制約の中で実を挙げるのは、なかなか容易でないというのが正直なところではないでしょうか。

 結局は、教師の適切な指導のもとに、子どもたちの語彙が自然と充実してゆくというのが理想でしょう。俳句に話を戻せば、子どもたちが句づくりを通して読者に自分の思いをより的確に伝えるよう表現をいろいろ工夫してゆく過程で、語彙もおのずと増えてゆくということは断言できます。俳句のような短い詩形では、その工夫の仕方が特に大きくものを言うわけですから。

 とすれば、「語彙の指導の充実」という文言に教育現場が浮足立つことなく、日ごろの表現活動などを土台にして地道な努力を積み重ねてゆくことの方が、長い目で見ればかえって実効性があるということになるのかもしれません。